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脊髄損傷の車椅子建築士が伝える「バリアフリー住宅の実情」③ ~外回り(玄関含)編2

 

 

 


外構アプローチ部分の45cmをどの様に解消すれば良いのでしょうか?

一般的な方法としてスロープの設置です。
建築基準法として、スロープの勾配は1/12勾配以上と謳われています。

では1/12勾配とはどの様な勾配なのでしょうか。
簡単に言うと1m上がるのに12mのスロープが必要と言う事になります。
角度は5度となります。

次に45cm(450mm)の段差に1/12勾配のスロープはどれ位必要なのでしょうか。

450mm×12=5400mmのスロープが必要となります。
しかし、只スロープだけ設置する事ではいけません。
スロープの始まりと終わりに車椅子が回転出来るスペース(踊り場)が必要となります。
通常は1500mmが必要と言われています。
故に1500mm+5400mm+1500mm=8400mmが必要となります。

では、車椅子使用者から見て、1/12勾配が適切な勾配なのでしょうか。

車椅子には身体の状況に合わせて様々なタイプがありますが、
大きく分けると自走式車椅子と電動式車椅子・介助式車椅子とに分けられます。

電動式車椅子であれば1/12勾配でも使用するのに問題ありません

次に自走用車椅子の場合です。

ここからは共感される方々がいらっしゃる事と思います。

自走用車椅子使用者は、車椅子を移動する為にタイヤを廻す事で両手が常に塞がっています。
又、スロープを上がる時は上半身を前屈気味にして車椅子で一気に駆け上がります。

荷物を運ぶ場合は荷物を膝に置き、車椅子を移動させます。
スロープを上がる場合は膝の上の荷物が邪魔をして前屈出来ない為に
上半身が後ろに反れ気味の状態となり、上がる事は中々厳しい事となります。

荷物を運ぶだけでは無く、加齢による腕の筋力低下・
体調不良時の事も考慮して行かなくてはなりません。

次に介助式車椅子の介助者の容易な車椅子介助も視野に入れなくてはいけません。

よって私的には1/15勾配を推奨しています。

では1/15勾配とはどれ位なのでしょうか。角度は4度となり、
必要長さは1500mm+6750mm+1500mm=9750mmとなります。

さて、一般住宅で1/12勾配で8400mm・1/15勾配で9750mmのスペースが確保出来るでしょうか。
土地の広さにもよると思いますが中々厳しい事と思います。

まず第一に9m前後のスロープを車椅子で上がる事なんて、大変ですよね。

故に解消するにはスロープだけではなく、福祉機器の併用も検討する事も必要となります。
勿論雨天時も考慮しなくてはいけません。何故なら車椅子使用者は傘は差せないからです。

ここからは注意点です。

業者の選定基準としては必ず施工実績を確認してみて下さい。

施工実績の無い業者・提示出来ない業者で「車椅子・・・」「福祉・・・」と謳っている業者は
教科書通りに
「法律で決まっていますから・・・」と言い、
一律に1/12勾配に施工しますし、殆どのケースで失敗されています。

次回バリアフリー住宅の実情 ~トイレ編~の事をお話させて頂きます。

 

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