彩の国人にやさしい建物づくり連絡協議会 第18年度 見学会

見学場所 

表参道ヒルズ  (東京都渋谷区)
見学日 平成18年11月6日(月)
主催者 彩の国人にやさしい建物づくり連絡協議会


建築コンセプト


*表参道の景観との調和
*表参道と同じ勾配の独創的なスパイラルスロープ
*ケヤキと暮らす住宅
*安全で災害に強い街づくり
*緑の育む屋上庭園
*外壁の一部を再生
 「水景の創出」
雨水を利用した疎水を整備し、
表参道に”水景”を創出
 「表参道ヒルズ正面入口」
 「独創的なスパイラルスロープ」
地下3階〜地上3階の吹き抜け空間を囲むスパイラルスロープ。
スパイラルスロープに沿って路面店感覚に店舗を配置
【スパイラルスロープ】
建物内部で全長約700M 外部の表参道の道路と同じ勾配 約3度(1/20)
 「車椅子でのスパイラルスロープ検証」
スロープ沿いに6フロアにわたってショップが並ぶ。
「第2の参道を街歩き感覚で楽しみたい」と言うフレーズ
約10M毎に踊り場を設けてはいるものの、
自走に集中し、前屈して一気に駆け上がる為店舗に目を向ける余裕無し。
勾配3度(1/20)

(写真は気合を入れているものの肩で息をしている)
この状態で声を掛けられても、返事は出来ませんよ(^_^)
 「スロープ沿のショップ出入口」
スロープの斜路面と店舗の水平面で斜めの段差が生じている。
車椅子で斜路から水平の店舗内に入るには、どの様な方法を
とればよいのだろう?
斜路上で90度の方向転換、身体が傾いた状態で段差越えにて入店。
車椅子操作の高度な技が必要である。
視覚障害の方はこのガラスは大丈夫かな?
 「段差解消スロープ」
トイレ入口(水平面)から勾配3度のスロープの段差解消。
座位バランスの取り辛い車椅子使用者には注意。
ここでも傾いた状態で斜路での90度の方向転換が必要である。
 「建物内の多目的トイレ内部」
車椅子回転スペースも確保された内部
乳児・幼児を抱いた方にも安心して使えると思われる。

付け加えるとすると下部に緊急コールの設置が望まれる。

開閉扉は何故自動にしなかったのか?
 「多目的トイレ内便座高さ」
車椅子から便座に移乗し易い、高さ(H450)に設置されている。
 「一般トイレ(男性用)」
車椅子で入る幅は確保されているが、使用までは・・・。
 「昼食を取った店舗入口」
当日は仲間に介助されて入店。
150MM程度の高さの段差が二段。
一人の場合はどうするのだろう?
 「3Fから同潤館に繋がる連絡通路」
 「3Fからの連絡通路出入口」
 「3Fフロアから下階を写す」
自走用車椅子で下る場合はスピードの制御が必要である。
介助車に関しては下り走行時に自走用と同じく、
介助者によるスピードの制御が必要と同時に、
前のめりの注意が必要と思われる。
又、杖歩行の方はこのスロープを下る時に、前のめりになる恐怖心を
感じるのでは?
 「3Fフロアからエスカレーターを写す」
上・下階移動用エスカレーターは一人用であり、
幅員が狭く、車椅子での使用は不可
 「自然光が降り注ぐ天窓」
スパイラルスロープに囲まれたアトリウムを照らす三角形の天窓
からの自然光
 「地下3Fフロアのアトリエ」
 「地下3Fフロア」
階段段鼻に注意を促す為の色の色彩が施されている
建物内の他段差にはこの様な事を施していない。
何故だろう?
併せて点字ブロックに付いても同じである。
 「身障用対応エレベーター」
 「身障用対応エレベーター内部」
 「地下3F多目的トイレ」
ここも上階としかり、開閉扉は手動である。
 「同潤館入口(階段)呼び出しコール」
コール貼付文字
「車椅子ご利用の方で同潤館各店舗へお越しの方はインターホォンの
 ボタンを押し、係が応答するまで暫くお待ち下さい」
その文字の下に
「ただ今調整中です。恐れ入りますが御用の方は下記まで
ご連絡下さい
 表参道ヒルズ防災センター
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ここまでくると流石に呆れてしまう。
その前に訪れようと思わない。
 「表参道の歩道をひたすら走行」
道路勾配は3度であるが表参道ヒルズ内と違い踊り場が無く
ひたすら休む事なく自走する。
【総評】 (敬称略)
「人に優しい建物」と言う事で今回の「表参道ヒルズ」の見学会に参加した。
見学前の森ビル椛、から計画・設計・運営にあたり、
4つのキーワード(安全性・誰もが利用出来る・安心快適・持続可能性)による安全設計・UD・BFに
力を入れたとの説明を受ける。
又、安全設計の考え方として
【ハード面の対応】 *安全性向上の為の対策工事
*回転扉の撤去
*安全設計ガイドラインの制定
*親子向けサービスの拡充
【ソフト面の対応】 *ドアプロジェクト事故機保存の協力
*社員による「サポートクルー」の実施
*安全会議の創設と実施
*毎年3/26安全の日行事
*「六本木ヒルズ社内意見箱」データーベースの運用
*安全教育・研修の実施
*社外事例活用レビュー
又、説明後参加者からの「BFに関して段差・スロープ等中々気付かない部分があり、
その部分の改善、及び注意・苦労した点は?」の質問の回答に
「社員が車椅子を使用して細部にわたって検証した」
との説明を受け、講演は終了。
その後、期待に胸を膨らませ、現地視察を行なったが、
*何処をどの様に検証したのか?
*何処の部分をUD・BFに力を入れたのか?
*何処の部分をソフト面で対応するのか?
等、受けた説明内容と現実にかなりのギャップが生じる検証となった。

企業や建築家の自己満足で出来ている建物が多い中、名ばかりのバリアフリー・ユニパーサルデザインで、
使い手の意見を取り入れられていないのが現状である。
今回の「表参道ヒルズ」に於いても同様であり、車椅子始めとして視覚等の各障害、又高齢者等の全ての人に
配慮したとは言い難い建物であった。

言いたくても言えない、我慢を強いられている人達が多い中
私自身車椅子使用者であると同時に、建築家としての立場から言わせてもらいたい。

計画・設計の段階で各関係団体等に事前確認を行なっていれば、下記問題点は軽減出来たのではないか?
と、思われる。

この報告書を単なる批判・批評と取るか、あるいは改善に向けての意見と取るか
(改善箇所は物理的に無理としても、出来る所だけでも)
は森ビル椛、に委ねるとする。


誰もが快適に過ごせる環境に!!
【問題箇所】 【現状】 【改善案】
スロープ *約3度の勾配自体は問題ではない。
 途中約10M毎に踊り場を設けてはいるものの
 全長700Mのスロープを車椅子(自走用・介助用)で
 上がる動作、又、下る動作に於いては身体に与える
 負担大(介助者も然り)
*高齢者が利用する場合に於いては身体に与える
 負担大
*杖歩行の方の利用する場合において身体に与える
 負担大。特に下り時に於いては、前のめりになる為
 転倒する危険性大
*途中休憩用としてベンチは設けては
  いるものの絶対量としては少ない
段差 *スロープ沿の店舗に入りたくても、殆どの入口で
 斜めの段差が生じている
*介助の限度を越えた段差が目立つ
*注意を促す色彩を施す
*各段差を面取りするだけで
 車椅子介助が楽になる
トイレ *ブース内の狭さに加えて、絶対量が少ない
*使う人が多い中、多目的トイレの絶対量が少ない
 (地下3階・中2階の2ヶ所のみ)
*多目的トイレの下部に於ける緊急コールの未設置
*多目的トイレの開閉扉が自動ではなく、手動である
*早急の設置
案内・誘導 *各店舗の案内表示不足
*緊急避難路含めた出入口の表示不足
*ハード的な部分に対しての応対として
 コンシェルシェ(サポート係)デスクを
 設置してはいるものの1Fのみで果たして
 全館対応が可能なのか?
*早期の設置及び改善
その他 *同潤館店舗入口の階段に於いて
 インターホンが設置されてはいるものの
 使用不可で意味が無い

  栗林福祉建築事務所
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